Cone Shape Adapter

Cone Shape Adapter 内面反射処理


上の画像の右はRMSマウントのカナダから里帰りしてきたMACRO NIKKOR 19mm/f2.8。左はCone Shape Adapterと呼ばれる接写リング。先端は顕微鏡の対物レンズなどを付けることができるRMSマウントでカメラ側がTマウント(M42 0.75)となっているがM42M42 1.00)タイプもあるようだ。伸長は56mmほどで手軽に倍率を上げられるのでは、という思いで入手したものだが、実際使ってみると内面反射が酷くあまり出番がなかった。そこでマットブラックを塗ってみたが、まだ使えるレベルまで達していなかった。


何か対策はないかと調べてみると、ファインシャットという内面反射防止素材があるということで、試してみた。
このファインシャットをコーンシェイプアダプターの内側に貼るのだが、ノギスで内径を測って寸法を入れると展開図を作成してくれるAppStoreTriangle2 があるととても便利だ。

注意:この数値は参考値で、この寸法で貼ってみたところ少し隙間ができてしまったので、もう少し調整が必要なのでアテにしないように願います。


出来上がった展開図を元にファインシャットをカッターで切るとこんな感じになる。

使うのはこの二つの形。テーパー部分はおうぎ形の部分を使い、カメラ側の円筒部分には帯状の部分を使う。帯状の部分はモノに合わせて後から切るので、切り出したままの形になっている。


貼る前に裏紙の一部分を切っておく。スリッターなどがあると便利だが、カッターで切ってもOK


この状態にしたらCone Shape Adapterのテーパー部分の内側に貼っていく。糊は再剥離可能で何度でも気が済むまで位置決めができる。

位置決めしたら、少しずつ裏紙を剥がしつつ貼っていくが、作業スペースが小さいのでピンセットなどで裏紙を剥がしつつ指で軽く押さえながら貼っていくのがやりやすいと思う。かなり貼りづらかったがなんとか貼り終えた。

これはマットブラックを塗った状態。内面反射は元と比べると少しは良くなったものの、未だ半逆光での撮影ではこの反射が相当悪さをして頭を抱えていた。(オリジナルの内面反射の状況のわかる写真は失念m(_ _)m。さらにテカテカだった。)

これがファインシャットを貼り終えた状態。肉眼で見ただけでも反射が少なくなっているのがわかる。

仕上がったCone Shape Adapterの内側を深度合成で撮影した。わずかな隙間が残念。型紙ではパーフェクトだったが、厚みと糊の引っ張りを考えてなかったので、わずかに寸足らずになってしまった。高い素材なのでとりあえずやり直さずにテスト撮影をしてみる。


貼り終えたCone Shape AdapterにMACRO NIKKOR 19mm/f2.8をつけてでテスト撮影。
セッティングはアダプター先端にMACRO NIKKOR 19mm/f2.8、そしてCone Shape AdapterTマウント-Nikon Fアダプター。カメラはNikon D7100。左右にフラッシュ、半逆光でレンズに光が入るようにさらにフラッシュの計3灯。テスト用の被写体は10円玉の平等院鳳凰堂の一部分を拡大した。深度合成用に手に入れたレンズなので、テストでも深度合成用に複数枚撮影したものをZereneStackerで合成する。


結果はというと、劇的な効果で驚く。
これがファインシャットを貼る前、すなわちマットブラックを塗った状態で撮影した画像。ハレーションが起き眠たい感じが否めない。

これがファインシャットを貼り終えた後に撮影した画像。シャドーが締まったおかげでハイライトが際立ち、コントラストも鮮やかになり、立体感も出て劇的な変化を遂げた。これでようやく最前線で使えそうだ。


美しいデザイン! 流麗なバランス!! まるでこのレンズのために作られたような形状が艶かしい❤️ たったこれだけのシステムで9倍相当以上の撮影倍率を稼ぐレンズはそうそう見当たらない。

この組み合わせでの撮影倍率を出してなかったので、おさらいしておく。
撮影倍率の求め方(Nikon D7100を使用)
1:定規を撮影する(ここでは短辺)。
2:Photoshopのものさしツールを使い1mm当たりのピクセル数を割り出す。例; Photoshopで測ったところ1525.25px/mmの値。
3:使用しているカメラの画素数を2で割り出した値(pixel/mm)で割ると撮影範囲がに出る。例; 4000(D7100短辺の画素数)÷1525.25(2で測ったpixel/mmの値)=2.62mm(短辺に写っている長さ)
4:使用しているカメラの撮像範囲を3で出した数値で割ると撮影倍率が出る。例; 16mm÷2.62mm=6.11
5:35mm相当に換算するには使用しているカメラの換算値をかけて求める。例; 6.11x1.5=9.17



厳密には対物用ミクローターなどを使うのが理想的だが、なくても大丈夫。もっぱら使うのがシンワ測定 直尺 シルバー 15cmでこれを撮影しておく。
できるだけ全面にピントの合った状態で撮影しておくのが理想的。高倍率になると手持ちでは厳しいので、ORIONS せぼね君があると重宝する。これは超接写撮影には優れものでとても出番が多い。3~4本容易しておくとセッティングを崩さずに被写体だけ素早く変えられるのでとても便利。




一定の繰出量において、レンズ固有の撮影倍率は変わらない!
35mm相当というのは、
24x36mmのサイズでこの撮影範囲まで拡大するには、この倍率が必要ですよ!」
という意味。
上記の組み合わせの場合、DXなので短辺が2.62mmのエリアが映るが、同じ条件でフォーマットを変えて撮影すると、FXで3.93mmx5.89mm、フォーサーズで2.13mmx2.83mmのエリアが写るので、レンズの撮影倍率は変わらない。しかし実際には写る範囲はフォーマットが小さくなるほどより小さなエリアしか写らなくなるので、結果的により拡大される。FXではそのままの6.11倍、DXでは6.11x1.5で9.17倍、フォーサーズでは6.11x2で12.22倍となる。


デジタル接写リングとの組み合わせでさらに様々な撮影倍率で使える。

Kenkoデジタル接写リング3連の先にCone Shape Adapterを付けて撮影した際の撮影倍率は9.7倍。35mm換算で14.55倍だ。ベローズを使うことなくこの倍率まで引っ張れるのが、この上なく魅力的。機動力は上がるように見えるが、実際は三脚なしでの撮影は意味がない倍率になるのでスタジオでの撮影以外には使わないだろう。

さらに詳しく超接写のことを知りたい方は、是非とも
超拡大で虫と植物と鉱物を撮る超拡大撮影の魅力と深度合成のテクニック (自然写真の教科書1)をお買い求めくださいね💋






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